新聞記事文庫 技術問題(1-011)
大阪朝日新聞 1940.1.14(昭和15)

     

太陽に怪光線 大きな貫通力、人体にも影響 突止めたその正体

 

太陽から出る紫外線、可視光線、赤外線のほかに、まだ世界の何人も発見し得なかった。しかも世界的現象として人体に怪奇な影響を与えつつある点―生体電離線(仮称)なるものが、神戸の医学徒によって発見され学界に大センセイシヨンを巻き起している。発見者は県立神戸病院の高田蒔博士と村杉忠香医学士で、同氏らは一昨年来血清による婦人の排卵測定を研究中、たまたま同年十月十二日、突如巨大な太陽黒点が中央子午線を通過した前後に全被検者の血清に異常な現象が突発したことから、ここに太陽と人体に相交感する不思議な特殊の一幅射線のあることを予感し、以来苦心研究の結果ついにその正体を突きとめたものである。
それによると線は日出の直後七、八分前から(夏は十分前から)急激に人体に影響、すなわち人体内に電離現象を起し血液をとり出して調べて見ると、イオンが急に増加し太陽が昇るにつれて漸次イオンの数が増加して日没前に極大値を示し、日没とともにその数は急激に低下、多数の人を同時に試験してもイオンの増減率は全く並行、また神戸、台北、東京で同時測定を行っても結果は同じで、その後外国における試験も同じ結果であるところから見て、この現象は局地的現象でなく、すこぶる広範囲にわたる世界的現象とされている。
また三重県三和鉱山において、地下四百フィート内の坑内で坑夫に対して実験した結果もイオンの増減は地上の人とほとんど変らぬところから、この線は強大なる貫通力を有することが立証された。このほかこの線の性質として、超感覚的で宇宙線と同様人体にはなんら感じない、イオン上昇の強さはその日の太陽面の活動ぶりと並行し、したがってこの線は太陽黒点周囲の活動層から夕立のごとく降って来るものと見られている。この線を人体にうけた場合は人体は著しく活発となり人間の心理状態に不思議な影響を与えるものと想像されており、『神経中枢は太陽から支配をうける』と唱える一部世界の学徒の説に有力な一石を投ずるものと見られている。

古武阪大医学部長談
『面白い発見だと考えていますが、この光線による反応その他の研究がそう容易には行い難い性質のものなので、各方面で研究した成績が合致しないとまだ真価は判断できぬので、学界でも神戸病院における研究経過を静観しているところだ』
                                           データ作成:2005.3 神戸大学附属図書館

 

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